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結婚の最先端を見た

 

結婚とは、夫婦になること。

類似概念に婚姻があり、社会的に承認された夫と妻の結合をいう。

結婚とは - ウィキペディア

若者の結婚離れが叫ばれる昨今、若者どころか生涯未婚率も上昇を続けている。

原因はお金がないから? 恐らくそれだけが問題ではない。

多くの人が想像する結婚後のステレオタイプなライフスタイル、例えば、夫婦共働きで子供は幼稚園児、母親が子供を迎えに行き帰宅、父親は毎日帰宅が遅く子供と話せるタイミングが少ない。こんな形が現代のライフスタイルとして無理がある点、ここが一番大きい問題であると私は思う。 

この前の結婚式にて

面白い話を聞いたことがある。結婚という単語を聞いた時、女性は結婚式の様子を想像し、男性は結婚後の生活を想像するのだそうだ。とはいえ今の若者は現実的だ。男女ともに結婚後の生活を想像しない者はほぼ居ないだろう。

結婚後にどのような生活が待っているか。

つまるところ、どのようなライフスタイルを想い描くか。これこそが今の日本の結婚の在り方ではないだろうか。だからこそ、希望を抱けないゆえに結婚離れが発生している。

 

私が今いる会社

私は現在、宮城県石巻市のイトナブという会社で活動している。

若者を対象に開発やデザインを学ぶ拠点と機会を提供し、

石巻から世界に挑戦できる環境づくりをしています。

イトナブ

まだまだ小さいながらも、挙げたらキリがないほど面白いこと満載の会社なのだが、今回挙げるのは1つ。それは会社が極めて“ゆるい”ところ。イトナブを訪れた人は口々に、なんだか部室みたいだ、大学の研究室のようだ、と言う。もちろん社員もその場所に相応しく、基本的に肩の力を抜いて活動している。もし社外の人がイトナブ内に居たとしても特に気にする人はいない。業務に差し支えないギリギリのラインまで、あらゆる部分が柔軟だ。*1

とにかく無理なくゆるいところ。これがこの組織の特徴であり、個人的に凄いと思っている点だ。

 

ゆるさの先にあるもの

さて、この“ゆるさ”の中で何が起きているのか。

先日、私の友人である2人、T氏E氏 が結婚した。T氏はイトナブの社員だが、E氏はイトナブの社員ではない。しかしながらE氏は平日の夕方やイベント開催時など、わりと頻繁にイトナブを訪れては社員達と談笑したりゲームで遊んだりしている。ちなみにE氏だけではなく他にもイトナブに遊びに来る人はたくさんいる。もちろん会社としては大歓迎だ。様々な交流や情報のやり取りがあるのは良いことだ。

ここで私は気づいた。この形は理想的なあり方の1つなのではないだろうか。

記事の最初で例として挙げたステレオタイプな結婚後のスタイル、それと大きく違う点として帰宅前に仕事場に家族が集まるタイミングが存在する。例えば、自宅で夫の帰りをイライラしながら待つのではなく、夫の会社へ行ってそこのコミュニティで過ごして一緒に帰宅するという選択肢もあるのだ。つまるところ会社が家族の生活の一部となる。

もし子供が居たとしたらどうだろうか。イトナブは教育に関して特に力を入れている企業だ。イトナブを出入りするすごい大人達との接点ができるどころか、きっとプロから直接何かを学ぶこともできてしまうだろう。例えば、学校の放課後に息子は父親が仕事する会社へ。夢を語る息子を面白がった社員達は様々な助言やサポートを行う。仕事を終えた母親も父親が仕事する会社へ。そこのコミュニティで充実した時間を過ごし、家族揃って帰宅。こんな生活ができるかもしれない。

“子供を連れてきてもいい会社”どころの話ではない。

“家族を丸ごと受け入れて絶妙な距離感で付き合ってくれる会社”

そんな場所になろうとしている。

 

こんな形もアリなんじゃない?

私はこんなライフスタイルもアリなんじゃないかなと思った。すごくいい。

もちろんこの生き方が誰にでも受け入れられるとは思えない。会社だってそうだ、そういう制度を作るだけでさえ大変なのに、会社が家族を丸ごと受け入れてくれる空気感を醸し出せるようにならなければ、うまくいくはずがない。

だが、もしそんな会社がたくさん増えてきたら? 完璧じゃなくてもいい。ちょっとしたことは軽く受け入れてくれるような、おおらかさを意識してくれるだけでもいい。そういう会社が全国に増えたら、きっともっと良い社会になると思う。

私の近くでそんな“形”が垣間見られたのは幸運なことだと思う。ましてや、ここは石巻。震災復興で地方衰退問題から目を逸らすことができたのも束の間、震災から数年経った今、他のどの地域よりも地方衰退が早く進行すると言われている。衰退しつつある日本の“撤退戦”最前線だ。

 

タイトルで私は結婚の“最先端”と書いた。ここでの最先端は最新という意味じゃない。ここで私が垣間見た“形”はもしかしたら昔のどこかの時代に存在した形かもしれないからだ。だがこの形はこれからの日本の社会で最も渇望される形となるかもしれない。 

*1:もちろんセキュリティを確保したエリアはちゃんと存在する